『ロスト・イン・パリ』

 たまたまなのか、何か背景があるのか、ここ数年カナダからフランスやEUの国にやってきたり逆に向かったりする公開作品が多いような気がする。トランプが間違って大統領になってしまったよりも前の制作だからトラのせいではないが、移民の受け入れとか総じての保守化とかUSAが窮屈になった影響があるのかもしれない。また、カナダが仏語圏を抱えフランスとも関係が密なせいもあるのだろう。

 この映画もまた、ヒロインはカナダから叔母を訪ねてパリにやってくる。昔故郷の北極圏?の村からパリに移った叔母さんはダンサーとして成功したらしいが今や年老いて八十ウン才。強制的に老人ホームに入れられそうになって、ヒロインに救いの手紙を送ったのだ。ポストに入れたつもりがゴミ箱に入っちゃったんだけど。大きな荷物を背負ったヒロインはパリにやってくるが、叔母はアパートから姿を消しており、叔母を探す最中エッフェル塔との写真を撮ろうとしてセーヌ川に誤って落下し、全ての荷物を失ってしまう。その荷物を拾ったのが河畔で暮らすホームレスの男だった…

 …というような物語(ヒロインの叔母探しとすれ違いと恋)が進行し、ポップでキュートで時にダンサブルにパリの街と人が紹介されていく。軽やかだけど、地に足はついている。これはパリでなければ成立しないシャシンなのだ。製作・監督・脚本・主演は道化師でもあるアベル&ゴードン夫妻(調べたら二人とも俺より年上じゃん…)。叔母役のエマニュエル・リヴァはこれが遺作のうちの1本。まるでそれを予感させるような終わり方…